『平凡』の平凡な思い出(205)―ロンドンで『ぐつぐつ』を!―


 『平凡』の平凡な思い出(205)
     ―ロンドンで『ぐつぐつ』を!

 

「犬も歩けばチューブに当たる」、チューブとはロンドンの地下鉄のこと。東京同様線の数が多く(ピカデリーラインとかサークルラインとか)そのうえ駅間の距離が短いので、市内を歩いている時、道がわからなくなり迷子になっても適当に歩いているとどこかの駅にぶつかりますよ。

一昨年に続いて去年の12月に1週間休みを取ってロンドンに行って来ました。たまたま偶然でヒースロー空港に着いた日が総選挙の投票日の翌日で結果が出ていた時でした。街中は所々で集会とか何らかの衝突が起きているかと思っていたのですが、意外にも静かでした。翌日の14日はゲームが始まる前、チェルシー地区を歩いていたのですが、投票所となった所に看板がそのまま残されているくらいで街の雰囲気は”クリスマス前”といった感じでした。

その翌日は議事堂周辺を歩いてみたのですが騒いでいるのは二階バス乗っていた観光客くらいでやはり静かでした。(いや、私は何もその取材に来たのではなくB面に載せているようにプレミアリーグのゲームを見に来ただけなんですけどね)

 

f:id:mount678:20200124174144j:plain

ー投票所になっていたところー

 

泊まったところは一昨年も利用したアールズコートのバークストンホステル(ホテルではないですよ)最初の日だけは日本から予約しておきシングルで手数料含め6000円くらい、二泊目と三泊目はシングルが空いていなかったのでドミトリーに移りました。ここら辺は市の中心地と空港の間にあり便利な場所ですよ。ちょっと歩けば自然歴史博物館もあるし反対側にはスタンフォードブリッジもあります。

駅から少し歩けば住宅街ですから小学校とか幼稚園を見ることができます。同じ写真を撮るなら生活の場とか仕事をしているところを撮れたらおもしろいんですけどね・・。

 

f:id:mount678:20200124174507j:plain

チェルシー地区ー

 

そして、今回何か不思議な体験と言ったら大袈裟でしょうが、”フシギーな雰囲気”を味わってきました。
西ロンドンのカフェに入り、周りは外人さんばかりですよ・・いや、そこでは私が外国人なんですけどね。ラテを飲みながらICレコーダーに録音してある加川良の『下宿屋』を聴いたり柳家小ゑんの『ぐつぐつ』を聞いたりして、こんな贅沢な気分はなかったですよ、えー・・。

『教訓Ⅰ』もいいですけどまさに詩的な『下宿屋』はいいですよぉー。そして『ぐつぐつ』は新作落語の名作。おでんのタネを擬人化して語られ秀逸。そのうえマクラが面白い。「今では自販機や炊飯器までしゃべる時代。カーナビには設定すれば関西弁でしゃべるものもありますからね。それなら銀行のATMの音声もその土地土地の言葉で話した方が楽しいじゃないですかね。例えば静岡銀行熱川支店だったら、なんぼほしいんずらー。加代、おみゃーに貸せる金はねぇずらよー、とかね。ゆうちょ銀行神田支店だったら、一体いくら欲しいんだい。ボヤボヤするねぇ、さっさと押しやがれこの貧乏人!江戸っ子は気が短いんでぇ。10万円、持って行きやがれこのドロボウ!とかね・・ついでにですがゆうちょの生保には入らない方がいいですよ・・」えー、私自身で多少創作をしましたけれど・・。

こんな日本のフォークや落語を青い目の人たちの間に挟まれて聞いていたんですけど、これ実にクロスオーバーで?何か”フシギーな雰囲気”でした。

 

f:id:mount678:20200124174649j:plain

チェルシー地区Ⅱー

 

そして英国繋がりになりますけれど、帰って来てからケン・ローチの最新作『家族を想うとき Sorry we missed you』を見てきました。
正直見ている間、つらかったです。ミラーのような映画。理不尽な格差社会人間性を否定して行く社会にますますなって行きそうで怖い。

12月11日にTBSラジオ『セッション22』ではケン・ローチに電話インタビューをしていました。監督は英国内だけでなくグローバルな問題であることを指摘していました。

そして聴取者からの投書メールに「これから日本が英国社会のようになって行くのかと心配で・・・」と寄せられていました。が、私はむしろ英国が日本社会のようになって行くのではと心配になりました。
と言うのも、あの映画のように進んで行ってしまったら英国内でもまちがいなく”過労死”が起きてきますよ。英語に(と言うより日本語以外に)過労死にあたる語はありません。当たり前ですよね。いくら仕事が大事だからと言って死ぬまで働けとは、これじゃ軍隊に近い。正直、日本人として恥ずかしいですよ。今後”Karoshi”なる語が世界共通語になるかも知れない・・?フントウに恐ろしい。

 

最後にこの作品の中にもとてもとてもユーモア度の高いシーンがありました。
主人公のリッキーが荷物を配達した家の男は地元のニューキャッスルのユニフォームを着ていて片やリッキーは生まれ故郷のマンチェスターユナイテッドのユニフォームを着ていた。それでまちがいなくフットボールの話になり段々エスカレートして行きお互いに相手のネガティブな過去を突きはじめ険悪になり、最後はいい大人がマジに罵り合うという大変愉快なシーンでした。これ向こうでは笑いの渦だったと思いますよ。

しかし、日本では残念なことにまったくそうはならない(笑っていたのは私だけでした)。映画ファンとフットボール(サッカー)ファンが重ならない。
これが私にとってはとてもとても残念でなりません。

 

                            -ボンちゃん-

 

※ヤフーブログが中止になり2~3か月前に「はてなブログ」に引っ越してきました。まだやり方がよくわからなくて困っているところです・・。こちらはフットボールコーナーです(英国に行って「サッカー」なんて言ったら笑われちゃいますよ)。
https://momo0678.hatenablog.com/